心霊現象の最も有名な一つとして、ポルターガイスト現象というものがあります。もともとは、ドイツ語で「騒がしい霊」という意味です。日本では、「家鳴り」と呼ばれ、妖怪や鬼が家を揺さぶることで起きると言い伝えられてきました。
このような現象の歴史は古く、16世紀以前から、この類いの怪奇な心霊現象は数多く記録され、伝えられてきました。
では、この現象は本当に霊や魔物の仕業なのでしょうか? 実は科学は発達してきた今日、このポルターガイスト現象の原因の多くを科学が解明してきた結果、意外な事実が分かってきました。
ポルターガイスト現象が起きる現場に共通する点の一つに、思春期前後の少女がいる割合が非常に高いということです。このことが意味すること……そう、科学が解明した原因は、多くが「いたずら」だったのです。
多感な時期の少女が、周りの注目を集めようと、物を投げつけたり、壊したり、自傷行為をしたりしていたのです。また、他人がいる場でラップ音がするなどの現象も報告があります。ところが、そのラップ音も関節を鳴らしたりする程度のトリックだったのです。
それでもオカルト信者は、それさえも認めよとはせず、霊の仕業でなければ、悩みを抱えた少女たちが無意識に発揮した超能力の一種である、と唱えます。しかし、そんな悩みで超能力が発揮されるのであれば、現代人の多くは超能力を発揮しまくりになってしまうでしょう。
そもそもポルターガイスト現象が霊的なものと言い始めたきっかけは、目に見えない力が加わって物が動き、音が鳴ることにあったわけですが、自然界には人間の知覚で感知できない力などはいくらでもあります。
身近な点でいえば、電気の力もそうでしょう。電流という目に見えないものが物体を動かし、光らせ、熱を与えます。
また、磁力もそうですね。方位磁針が北を指すのも地球全体が磁石になっているからです。物質的作用を与えなくても動きますよね。
最近では、レーザー技術も発展してき、多くの人がいる公共の場であって、ある特定の人にしか聞こえない拡声器のようなものも登場しています。これなど、知識のない人にとってみれば、まさにポルターガイスト現象でしょう。
すぐ隣の人には聞こえず、自分の耳元だけに突然声が聞こえれば、ある意味恐怖を感じることでしょう。
原始的な現象では、下水道の振動などで起きる共鳴や共振などもあります。共振などは、巨大なビルや橋を動かすほどの力に増殖されることもあり、地震と間違えられるほどの揺れを起こしたりします。
このように、目の前の物体が突然動き出したり、音が鳴り出したりしても、イコール幽霊の仕業、または、超能力によるものと判断することは、いささか早計といえるでしょう。
以上のことを踏まえてこういうホラーを見ると見方や楽しみ方が変わるかもしれませんね。