あなたは、アンクル・サムという男性を知っていますか? 彼は最も有名なアメリカの男性です。
アンクル・サムは背が高い細身の男性です。そして、彼は白髪で白いひげをたくわえた年配の男性です。彼はよく派手なシルクハット、派手な蝶ネクタイ、そして、アメリカ国旗である星条旗をいつも着用しています。
この奇妙な格好をした男性は誰でしょう? 実は彼はアメリカ合衆国政府なのです。あなたは、このアンクル・サムが合衆国政府であることを信じられますか。しかし、いったいなぜ合衆国政府をアンクル・サムと呼ぶようになったのでしょうか。
今から100年以上も前の1812年の戦時中のことです。アメリカ合衆国政府は軍の兵士たちのために肉を納品する精肉業者を雇いました。これら精肉業者の中にサミュエル・ウィルソンという名前の男性がいました。彼はとても愛想のいい、実直な男性でした。従業員にも慕われ、みんな彼の事が大好きでした。そして、親しまれていた彼のことを、従業員たちは気軽にアンクル・サムと呼んでいたのです。
サミュエル・ウィルソンは軍へ送るための肉の箱に“United States”を表わす“U.S.”の印を押していました。ある日、合衆国政府の検査官たちがウィルソンの会社へ視察にやってきました。
そこで、検査官たちは一人の労働者に、その箱の“U.S.”は、いったい何を意味しているのかを尋ねました。その労働者は、冗談のつもりで、その文字は自分の上司であるアンクル・サム( Uncle Sam )を意味している、と答えたのです。
その冗談が広まり、アメリカの兵士たちは食料が「アンクル・サムから来た!」と言い始めたのです。そして、まもなく、一般の人々までが、政府から来たあらゆるものを「アンクル・サムのもの」と呼ぶようになったのです。こうして、「アンクル・サム」というのが、アメリカ合衆国のニックネームになったのです。
しばらくすると、新聞にアンクル・サムの描写やマンガが登場するようになりました。その当時の古い画に描かれたアンクル・サムは、若い青年でした。彼は星条旗をまとっていましたが、髪の毛は黒く、ひげはなかったのです。
ひげはアブラハム・リンカーンが大統領のときに付け加えられました。なぜなら、リンカーン大統領にはひげがあったからです。この後、アンクル・サムは見た目を変えながらも、しばしばアメリカを表わす風刺画の登場人物として現われます。アメリカの代表的な男性になっていったのです。
アンクル・サムの最も有名な絵は、第一次世界大戦中のポスターのものです。政府は戦争で戦う男性が必要でした。そのポスターで真剣な顔つきのアンクル・サムが指を差しながら、「合衆国軍隊には、あなたが必要だ!」と言っています。
これはこれで怖いですが、ロックな雰囲気が出て格好良さもありますね。こういうのが好きです。