2014年、ビデオ・ゲームを元にしたアメリカ映画。監督は、『ネイビー・シールズ』のスコット・ワウ。
主演は、トビーを演じるのがアーロン・ポール。正直、脇を固める方が主役級なので、こちらの役者さんは主役級ではないので、初めは珍しさ見たさで観ていましたが、終盤は非常に良かったですね、かなり惹かれました。
で、その脇ですが、まずトビーの宿敵ディーノを演じるのは、『マンマ・ミーア!』、『プリーチャー』のドミニク・クーパー。『Mr. ROBOT』のラミ・マレック。そして、“デレオン”というレースを主催する謎の富豪DJモナークに、大名優マイケル・キートン。
『ビートル・ジュース』、初代『バットマン』シリーズ、『バードマン』のマイケル・キートンのような格違いの名優が出演していると、それだけで映画って引き締まるんですよね。
ラジオDJモナークが自分で主催するレース“デレオン”について語っています。優勝者には、参加車を総取りする権利があるという、リスクもデカいが、報酬もデカいレースです。
舞台は、ニューヨーク州郊外のマウントキスコという田舎町。本当に田舎です。若者たち集うドライブ・シアターでは、スティーブン・マックイーンの『ブリッド』を流すなど、粋な計らい。やっぱり、車って若者にとってはステイタスなアイテムなんですね。
父を亡くしたばかりのトビー(アーロン・ポール)が、仲間たちと、“デレオン”に対して熱く意気込みを話し合っているところに、ベンツ500SL、ディーノ(ドミニク・クーパー)の登場です。
その夜、街中レースが行なわれ、若者たちは車を疾走させます。なかなかの迫力あるシーンではありますが、車が古い車がたった3台なので、リアル感が物足りません。広い通りから街の中の路地裏の道を駆け抜けます。運転するキャストもときおり映りますが、なんとなくオーラのないキャストのせいでしょうか、ゴール後も盛り上がりませんね。演出の問題か、出演者の器の問題か、『ワイルド・スピード』と比べることはできません。
レース後、ディーノがやってきて、マスタングの改造を依頼します。やはりドラマの主役を背負ってきた貫禄のせいか、画が引き締まります。また、このときにチラッと見えるフィン役のラミ・マレックもほんのわずかな瞬間なのですが、惹かれます。やはり主役を張れる役者は(オーラを)持っているということなのでしょう。だから、本作の主役アーロン・ポールが食われっぱなしなのでしょうか。
翌朝届いたのは、エンジンむき出しのムスタング。そして、時は経ち、甦ったマスタングはお披露目会に! しかし、マンハッタンのセレブたちは、仕上がったマスタングを褒めても、作った整備士に対しては、冷ややかです。
そのお披露目会で、あるセレブから、このマスタングが370km出せれば買うと約束を受ける。翌日、それを達成します。
しかし、ディーノはトビーが勝手に出した記録に満足いかず、レースを申し込みます。トビーとディーノ、そして、トビーが弟のように慕うピートの3人は、公道でレースを始めます。ただ、なんでしょうね、二百キロ以上出ての一般道でのレース・バトルの割には、緊張感がないんですよね。撮影手法に問題があるのでしょうか? っていうか、その速度で、かがみながらバックミラー見つめて、にやける余裕があるのか?
ディーノは走行を邪魔するピートの車にワザと接触します。ひらりと舞い上がるピートの車……殺人でしょ! 炎を上げて公道を転げ回るピートのレース・カー、そして彼は、亡くなり、トビーは捕まります。しかし、ディーノはアリバイをつくって、車は盗まれたものでレースには参加していない、と言って逃げ切るのです。
2年後、トビーは仮出所し、復讐のためマスタングで“デレオン”に出場します。ディーノもある投資家から500万ドルの資金を援助され参加します。
昔の仲間が集まりますが、フィンは抜け、ITサラリーマン生活。すんなり仲間に加わろうとはしませんが、ビートの走りをみているうちに気持ちが入れ替わります。このフィンのキレっぷりが爽快です。この人にぴったりの役柄ですね。そして、レース場までの道のりはかなり見応えがあります。
無事レースの受付を済ますも、ディーノの手下によって、マスタングは大破! 車を失ったビートはディーノのガレージから車を盗み出し、レースに参加します。その車は、ピートを死に至らしめた車でした。
いよいよ翌レース当日、6台の車が集まり、公道レースが始まります。不認定レースでありながら、その模様はネットで実況中継され、世界中が注目しています。前半のレース・シーンがウソのように迫力ある映像が撮れています。撮影監督が別人なのでしょうか?
なかなか迫力のあるレース・シーンから離脱車が続々出て、最終的にはビートとディーノの決戦となります。DJモナークの「これはもはや決戦だ! 戦いだ!」という言葉が印象的です。
そして、レース終盤、ディーノは、車をビートの車に……。
レース後、灯台を眺めながら一筋の涙を流すビート……この映画の中で、最も心が揺さぶれるシーンでした。序盤は、おいおい大丈夫か? と思ったアーロン・ポールも受け入れられるようになりました。
時間の無い方は、最初の40分は早送りでいいかも知れません。
男ならば観るべき映画……の一つを、見つけてしまいました。